オレユニ式:これからの会議資料のつくり方
こんにちは、オレンジ色のユニフォームです。
先日、研究会活動で小売店の店長向けレポートづくりを一緒に行っている知人から次の照会がありました。
「レポートのフォーマットが真ん中で切り替わると読みにくいのですけど、どうやって読むのが正解なのでしょうか」
このレポートはWordの2段組みで作っていました。
2段組でレイアウトした文書の例:
レアイウトを2段組みにすると、通常のビジネス文書よりも市販の雑誌っぽくなるので当初より採用していました。
ですから冒頭の照会には正直、「え、今さらなんで」と思いました。
ただ、ここは冷静に対応、ということで、
「左側を読んで、次に右側を読むのが正しいです」と返しました。
すると、
「スクロール下げてって読んでまた上に戻るのがめんどい」と返ってきました。
なるほど、ボクは “読み手が紙媒体で読むことを前提にものごとを考えていた”ことに気づきました。
あわせて、自分の感覚が時代遅れになっていることを痛感しました。
変わっていく外部環境
これまで当たり前だったことが、外部環境が変わることで当たり前でなくなることはいつの時代にもあると思います。
外部環境が変わる至近の例では次のようなものがあります。
・会議コーナーに大型ディスプレイが設置され始めた
・ノートPCが個人に配布された
・するとノートPCを持って会議に参加するようになった
・個人の常設ディスプレイが大型になった
・オンライン会議が主流になってきた
・画面共有機能はだれでも使えるようになった
すると、次のような変化があらわれるようになりました。
・紙の資料の配布がなくなった
・会議でプロジェクターを使わなくなった
・各自で自身のノートPCをみるため、会議コーナーの大型ディスプレイへの投影する回数が少なくなった
・密をさけるために、会議コーナーに参集することがなくなった
さらに近年では、コロナの爆発的な感染拡大の影響で、外部環境の変わる速度は恐ろしいほど速くなったと感じています。
変わらなきゃいけないのに変わっていないもの
外部環境が変わっているのに、もたもたしていたら、あっといまに置いてきぼりをくってしまいます。
しかしながら、現場のそこかしこで、もたもたしていて変わらないものは存在しています。
例えば、会議で使用する資料は最たる例でしょう。
冒頭の事例と同様に、紙媒体を前提とした資料をこれまで通り使用している例は少なくないと思います。
原因の一つとして、紙媒体があたりまえの時に作られたフォーマットの資料をいまも使いまわしていることがあげられます。
このため次のようなことが現場では散発しています。
・EXCELの資料を表示しては、縮小拡大率でどうのこうのと盛り上がる時間を費やしている
・文字でびっしりと埋められた長文のWordの資料を我慢して読み込んでいる
・なにを主張したいのか、どこを強調したいのかがイマイチわからない無味乾燥な資料を読んでモヤモヤしてしまう
変わらなきゃいけないのに変わっていないものが残っていると、現場の生産性向上の阻害要因の一つになります。
SMARTOONはご存知でしょうか
SMARTOONはご存知でしょうか。
これは、「縦スクロールマンガ」や「ウェブトゥーン」とも呼ばれているものです。通常のマンガと異なり、スマートフォンで読むことを前提にしている形態で、フルカラー、縦スクロールで読むのが特徴です。
読みやすく、モノクロ印刷の従来のマンガよりも迫力と臨場感があると言われています。
日経Trendyの“2022年に流行るものランキング”の17位にランクインしていることから爆発的なヒットの可能性も感じます。
従来のマンガをスマートフォンでみる、というのは物理的に相当無理があるため、スマートフォンで読むことを前提にし、縦スクロールしかない、という考えのもと誕生したものです。
ケータイからスマートフォンへの切り替わり、という外部環境の変化に見事にキャッチアップした事例だと思います。
では、これからの会議資料はどうつくったらよいのでしょうか
さて、では、これからの会議資料はどうつくったらよいのでしょうか。
自身の経験をもとに「使うもの」と「使わないもの」に分けて説明していきます。
使うもの
■画面表示を前提としたものを使おう
・パワポを資料のベースとするのがオススメです
→画面サイズにアジャストしてくれる機能が標準で搭載されているからです
■効果的に色を使おう
・印刷コストを考えると、社内の会議で使う資料は白黒印刷が中心でした
・このため、これまでの資料はほぼ黒一色が当たり前でした
→色を使ったところで印刷すると意味がなくなってしまうためです
→グレーなど薄い色を使う人は散見されました
・ただし、画面で資料を閲覧することが当たり前になると、資料に色をもっと使うべきです
・強調するところや、比較する場合に使用すると効果的です
・ボクは会議のアジェンダを次のような工夫を取り入れています
-本日取り扱う議案は赤色で記載
-過去の経緯や決定事項は灰色で記載
-会議で決定したこと・フォロー事項は青色で記載
・ただし、あまりにも多くの色を使いすぎると逆効果になるので注意が必要です
■スピーカ(説明者)と受け手がシンクロをしやすい目印を付記しよう
・「いま資料の2スライド目を説明しています」「項番3をご覧ください」といった誘導ができるように、資料にはスライド番号と同一内容の塊ごとに項番をつけましょう
■扉のスライドを差し込みましょう
・章が変わる、とか、内容がガラっと変わるようなときは、扉のスライドを差し込んで読み手の頭を切りかえられるようにしましょう
■箇条書きを使おう
・箇条書きを使うことで文章がなかば強制的に短文になります
■会議資料を説明するときにはカーソルをうまくつかいましょう
・カーソルをつかうことで説明場所を明示できます
・また、カーソルをつって選択して反転することで、強調したいところ目立たせることができます
つかはないもの
■アニメーション機能は使わないようにしよう
・受け手のネット環境によってはカクカクしてしまったり、うまく表示できない人がでてきてしまったりするおそれがあるためです
■小さい字で隙間なく書くのはやめよう
・一目で伝えたいことが伝わるように記載するべきです
むすびに
昔に決まったことを疑いもせず使い続けていると、今回の記事で取り上げた事例のようなことが起きると考えます。
アップデートする精神を忘れず、時代遅れになっていることに気づけるよう常にアンテナを張って生きていきたいと思います。
最後に、冒頭の事例の結末を述べておきます。
レポートの読み手の小売店の店長は、レポートを毎回、紙に印刷して読んでいることがわかりました。このため、従来通り2段組みのレイアウトのまま継続させることにしました
(了)