成人式の日のイイお話
こんにちは。オレンジ色のユニフォームです。
今回はちょっとイイ話を共有させていただきます
青森県の十三湖でシジミ漁にて生計を立てている漁師の知人がいます。
「下戸だけどカラオケがものすごくうまいアニメおたくの旦那」と「ガンバリ屋でいつも
元気溌剌な奥さま」で息のあった仕事をされています。
そのシジミ漁師の長女が大学に入学し、一昨年から東京に出てこられています。
長女も奥さまと同じく、明るくて元気溌剌、そして、ガンバリ屋です。
その長女は、昨年からアルバイトで高校生向けの塾の講師を務めるようになりました。
なんでも全力投球の長女は塾の講師を一生懸命務め、生徒からの評判の上々のようです。
そんな長女だから、自分の成人式にもかかわらず、センター試験目前に控えた生徒のために塾の講師のバイトを入れていました。
奥さまは「なじょして、わのごどしりも他人のごどば大事サすらんだべ(どうして、自分のことよりも他人のことを大事にするんだろう)」
「たまサは津軽帰ってきて、津軽の人の気持ちの温かさサ触れ、気ば休まなぐてもいいはんではねべっか(たまには青森帰ってきて、青森の人の気持ちの温かさに触れ、気を休めてもいいのではないだろうか)」
しかし、長女と同じ立場なら、自分でも同じ行動をとっていただろう。
ただ、まっすぐ生きている長女が損をしないことを切に願っていました。
成人式の当日、長女が塾に向かおうと、駅まできたところ、人身事故のため中央線が止まっていることがわかりました。なんと、復旧は16:50頃とのアナウンス。
塾の講義が17時開始なので到底間に合わない。しばし逡巡しましが、意を決してタクシーを使うことに決めました。
長女はタクシーの列に並びタクシーを待ちました。
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その日の夜、長女から奥さまにLINEが届きました。
長女
「なんかさ、バイト午後からもう1回行こうとしたら電車が人身事故で止まってて」
「5時から授業なのに4時50分じゃないと復旧しないってなってたから」
「タクシーで行ったあって」
「ほんとは国分寺から国立まで140円なのに」
「タクシーだったら1440円くらいかかって」
「最悪だなって思っていたら」
「運転手さんと話していたらさ、」
「青森の人でさ」
奥さま「うん」
長女
「仲良くなってさ」
奥さま「えー(笑顔のマーク)」
長女
「国分寺から国立に行くだけなのに」
「お金かかって可哀想って」
「言って」
「内緒でさ」
「電車賃分だけにしてくれたんだよ(うれし涙のマーク)」
「やばい(うれし涙のマーク)」
奥さま「(うれし涙のマーク)」
長女
「乗るだけで750円とかかかるのに」
奥さま「感動した」
長女
「やばいよな」
長女とのLINEのやりとりが終わった後、奥さまはシミジミ思いました。
成人式よりも 生徒を選んだ娘。親としては、晴れ姿を見たかった。
しかし、自分が決めた事を曲げない。
やり遂げる。型にはまらず自由に生きる。
それが私の長女だ。
自分がやりたい事をやり、幸せだと思えるなんてこの上ない幸せだ。
生徒が頑張ってる姿をみて、自分も頑張れる。
頑張ってる娘を見て、親も頑張れる。
成人式の日に青森に帰らなくても、東京で同郷の人の温かさに触れることができた娘は幸せ者だ。
そんな親でいられる私はもっと幸せ者だ。
イイ話でした。
(了)