レバニラいための夜（完全版）
こんにちは、オレンジ色のユニフォームです。
先日Facebookに投稿した記事を転載しつつ、その続きを追記しました。
くだけた話ですので、ご注意くださいませ。
第一夜のおはなし
その日は無性にレバニラいためが食べたかったんだ
なにはともあれ、とってもレバニラいためが食べたかったんだ
暑いし、ムシムシするし、ここらでエナジーチャージしなきゃ、夏バテするゾ、
というのが大いなる理由、というか、言い訳だったんだ
駅を降りて、いつもの中華屋(天龍)に駆け込み、はぁはぁしながらオーダーしたんだ
「ビールと、餃子と、レバニラいため！」
サイコーの笑顔だったと思うんだ
大瓶ビールを飲み、焼き餃子をつまみながら、レバニラいためを待っていたんだ
はぁはぁ感は高まるばかりだったんだ
そしてついに待ちに待ったレバニラいためがやってきたんだ
はぁはぁ感はサイコーチョーだったんだ
でも、
でも、
なにかが違ったんだ
やってきたのは、レバニラいためじゃなかったんだ
それは、レバニラいためとは違う、肉ニラいためだったんだ
なぜだ
なぜだ
でも、よくよく思い返すと、
自分で、肉ニラいため、とオーダーしていたことを思い出したんだ
はぁはぁしすぎて、オーダーミスをしていたことに気づいたんだ
観念して、
その日は、肉ニラいため、を大人しく完食したのでした
ただ、レバニラいためがくることを期待していたボクの胃袋は、
やってきた肉ニラいために
「レバがないじゃないか」
と、大いに憤慨していたんだと思うんだ
第二夜のおはなし
先週のリベンジを果たすために、颯爽と中華屋の暖簾をくぐったんだ
「今日こそは俺は、所期の目的を果たすんだ」
という強い気持ちを持っていたんだ
それと、先週期待を裏切ってしまったボクの胃袋の期待に応える、
という使命感を持っていたんだ
「肉ニラじゃなくニラレバだゾ」
「肉ニラじゃなくニラレバだゾ」
「肉ニラじゃなくニラレバだゾ」
オーダーする前に、おまじないように心の中で3回ほどつぶやいたんだ
目をあげた時、カウンターの向こう側にいるチャイナ系女子店員と目があったんだ
そして、一気にオーダーしたんだ
「ビールと、餃子とぉぉぉ、（ちょっと間をおいて）ニラレバいため！」
チャイナ系女子店員は、すばやく
「ニラタマ？」
と聞き返してきた
オイオイ、違うだろ
ニラレバだよ
ちゃんと聞いてくれよ
でも、今回は気合が入りすぎていて、ちゃんと発音ができていなかったかもしれないん
ここは冷静にならなきゃいけないんだ
と、思い直し
「ニラレバっ」
と、レバを強調して伝えたんだ
チャイナ系女子店員は、合点がいったようにうなずき
チャイナ系女子特有の日本語のイントネーションでオーダーを厨房に向かって伝えたんだ
「ニラレバ！」
ホッ、
これで胃袋は待ち受け態勢に入っていたんだ
でも、一抹の不安があったんだ
チャイナ系女子店員が厨房に向かって伝えたオーダーが
「ニラタマ！」とも聞こえたんだ
でもまさかね、と思っていたんだ
コレでニラタマがきたら悲劇を通り越して喜劇だよ
なんて思っていたんだ
そして、ビールを飲んで待っていたらついにやってきたんだ
「ニラタマ」が
マ、マジっすか
しかし、ここでオーダーミスを主張したら、
この店にはもう来られなくなるだろうなぁ
と思い
観念してニラタマいためを食べることにしたんだ
でも、今回は肉がまったく入っていなかったんだ
ボクの胃袋はショゲかえっていたんだ
最終夜のおはなし
ボクはどうしたらニラレバいためを食べることができるのか真剣に考えていたんだ
仕事でミスをすると、再発防止策を考えさせられる
これまで何度もやってきたんだ
そーだ、今回の件はそれを模して対応しようじゃないかと考えたんだ
ボクがたてた策は、3つの方式を合わせた技にしたんだ
まず１目の方式は、語順を変えることなんだ
レバを先にニラを後にする「レバニラいため」とオーダーする方式なんだ
これでにっくき「ニラタマ」を封じ込められるんだ
そして、それに、区切ってしゃべる方式を加えたんだ
具体的には、「レバ」でいったん区切って、とめて、とめて「ニラいため」と続ける方式なんだ
「レバぁぁぁぁぁぁニラいため」
しあげとして、「ビール、餃子」をオーダーする前に、
レバニラいためをオーダーする順番も組み替えたんだ
名付けて「結論先出し、天才バカボンのパパ＆小池百合子方式」なのだ
これまでのリベンジを果たすために、三度目の中華屋の暖簾をくぐったんだ
カウンダーの席に着きと、目の前にお冷がおかれる
チャイナ系女子店員と目があった
今だ
「レバぁぁぁぁぁぁニラいため」
チャイナ系女子店員は
「ニラレバ」「ライスはつけますか」
と返ってきた
やった
心の中でガッツポーズをしながら、ビールと餃子をオーダーしたんだ
ついに、ついに、その日は、ボクの胃袋に「レバニラいため」をたべさせてあげることができたんだ
長い話におつきあいいただきましてありがとうございます
えーと、オチはありません
（了）
