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信用スコアサービスのカオスがやってくる

こんにちは、オレンジ色のユニフォームです。

 

自分勝手で身勝手な輩は退場せよ

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街を歩いているとき“歩きタバコ”をしている人を遭遇すると不愉快な気分になります。ケムいのに加えて、その人の人間性を疑ってしまうからです。

 

「捕まらなきゃ、どこで、なにをやろうが、勝手でしょ」

 

という邪悪なメッセージを感じ取ってしまいます。“自分の欲求を果たすためには他人の迷惑なんて顧みず”という性根が気にくわない。なんとも、自分勝手で身勝手な輩だろうと思います。

 

このようなヤツとは我が娘達(長女2x歳、次女2x歳)は断固として付き合ってほしくない。まして、「お父さん、今度会ってほしい人がいるの」などという展開になったらなおのことだ。

 

しかし、しかしだ、「お父さん、はじめまして、私は〇〇と言います」「いま、娘さんとお付き合いをさせていただいております」。というような神妙な挨拶をされたあと、爽やかな笑顔で白い歯をキラリ、なんてされたら、「イイ青年じゃないか」と騙されてしまうことも考えられます。たとえ、その青年が、私の知らないところで“歩きタバコ”を常態化していてもだ。なんとも悔しくて、歯がゆいことではありませんか。

 

現時点の信用評価システムの限界

現在の日本では、「人を信用する」ということは、大部分が定性的な評価で行われています。他方、定量的な評価はごくわずかにとどまっています。

 

たとえば、就活学生の採用であれば、多くの企業が学歴を第一のフィルタリングにしていることが多いようです(もちろん例外の企業もあります)。

しかし、学歴があっても、

 

・人とのコミュニケーションがうまくとれない

・自分の意見・考えを持っていない

・素行が実は不良だった

・協調性がなかった

 

というような失敗人材を採用してしまうことは、多くの企業で散見されているのではないでしょうか。

 

就活学生の採用以外でも、住宅ローンの申し込み、クレジットカードの発行、パスポートの発行、有名私立幼稚園の入学試験、など、時間と手間をかけて慎重な審査を行っているものもあります。しかし、どれほどの時間をかけてもすべてを把握することは難しいのが現実でしょう。

 

実はアブナイ友好関係を持っていた。クスリをやっていた過去がある。ホテルの部屋をメチャクチャにする偏向がある。道路にツバをはく。平気で割り込みをする。消費者金融でお金を借りることが常態化している。税金を延滞している。レンタルビデオを返却しない。レンタル自転車を荒っぽい乗り方をして壊す。といったリスクは残念ながら存在してしまうことでしょう。

 

このような事例は、信用評価の大部分を定性的評価で行っている日本の限界の証左と言えるでしょう。

 

中国で登場した信用情報システム

このようなリスクを撤廃できたら、どんなにヨイ世の中になることだろう。と思っていたら、隣国の中国で、ヨイ世の中の実現を支援する「芝麻信用」というサービスが立ち上がっていました。

 

「芝麻信用」とは信用情報管理システムのことです。中国の「支付宝(アリペイ)」(アリババ集団系)が提供している付随機能です。もうすでにご存じの方も多いことでしょう。

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中国のスマホ決済率はオドロキの98%

中国では店頭でスマホ決済を利用する人は98%になっているそうです。すでに現金にとって代わるほどの日常的な支払い手段になっています。

 

アリペイの場合、1日の決済件数は1億7500万回に及ぶと聞きます。そのアリペイを使うには、実名や身分証番号の登録が必要となります。したがって、支払金額や商品、店舗名などの消費情報が、名前や年齢といった個人情報とひも付いた形で毎秒2千件のペースで蓄積されることになります。

 

アリペイができてしまうこと

アリペイは個人の金銭授受のほとんど全領域に関与しています。このため、アリペイが蓄積している情報をみれば、その人の購買履歴や資産、納税、公共料金などの支払い状況を把握することが可能です。借入金があれば、その詳細、返済に関するホワイト、ブラック情報なども把握できるのです。交通違反反則金の納付状況までわかるとのこと。一企業だけではなく国家と結びついたスキームが構築されていることがうかがい知れます。

さらに、個人間の資金のやり取りも記録に残ります。これはつまり、どのような社会階層、どのような資産状況の人間と日常的な交友があるのかもわかるのです。

 

「芝麻信用」のスコアリングスキーム

「芝麻信用」はアリペイでの支払い履歴(ホワイトおよびブラック情報)のほか、個人の学歴や職歴、マイカーや住宅など資産の保有状況、交遊関係などをポイント化しています。

 

これにより、信用度を350~950点の範囲で格付けし、その点数を与信や金利優遇などの判断材料にしています。

信用度は本人にも公開しています。学歴や資産状況などの入力は任意ですが、信用度の指数が上がるとメリットが大きいので、「自分は好条件」と思っている人ほど積極的に入力する傾向があると聞きます。

 

評点が低いと結婚もできない

個人の信用度が低い場合は、「航空機や高速鉄道に乗れなくなる」「レンタル自転車の賃貸契約を拒否される」「ホテルの宿泊を拒否される」「結婚ができない」といった事態が現実化しようとしているようです。「1984」のビッグブラザーの世界がやってきそうです。

 

日本でも立ち上がる評価システム

日本でも株式会社J.Score(みずほ銀行ソフトバンクが設立した合弁子会社)がフィンテックを活用した個人向けレンディングサービスを提供し始めています。みずほ銀行の持つ顧客データ分析やローン審査ノウハウと、ソフトバンクのAIを用いたデータ分析を融合し、顧客データをスコア化して融資に活用するというスキームのようです。

 

今月に入り、Yahooも信用スコアサービスのリリースを発表しました。同社のサービスの利用実績から機械的に算出する「Yahoo!スコア」を事業者向けに提供するとのこと。ユーザーに対する特典などの付与や、審査プロセスの簡略化、コンテンツの最適化、サービスの改善、広告の配信などに利用するそうです。https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1906/05/news037.html

 

このサービスは利用者の意志で止めることができるのですが、恐ろしいことに、デフォルトはONになっているのです。個人情報を抜かれまくる人が多くなりそうです。

 

さて、日本はQRコードペイの次は信用スコアの一大ムーブメントが起きるのでしょうか。でも、中国と違って、日本は、またもやカオス状態を作ってしまうのかもしれません。推進の母体が国家と私企業とでは、大きな違いがあるのでしょうから。

 

果たしてハッピーになれるのか

ITの力で情報を収集し、スコアリングする。その結果、個人の良質の行動を促進し、悪質な行動を抑え、自分勝手で身勝手な輩が減る。

このようなことができればハッピーの世の中がくるのであろう、と思いたいですが、実はそう一筋縄ではいかないところがあるのだと思います。だから、だからこそ、世の中はオモシロイのだとも思いたい。いや、強く思う(ようにしたい)。

 

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(了)