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マイクロワーク化に振り回されるな

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こんにちは、オレンジ色のユニフォームです。

 

最近、ギグ・エコノミーとかマイクロ・ラーニングなどスキマ時間を上手に使ったビジネスが登場してきています。しかし、その一方で、仕事の単位が細切れ(マイクロ化)になることの弊害を被っているひとはすくなくないと思います。

 

今回の記事は、“マイクロワーク=細切れになった仕事のこと”について考えたことを書きたいと思います。

 

“仕事が、いつまでも、どこまでも、追いかけてくる”

 

平成が始まったころの職場は、紙とシャーペンと消しゴムと定規で資料を作っていました。その頃の職場は、現在とくらべて、なんとも牧歌的で、時間がゆったりと流れていたように思います。

 

■イメージシーン

とある職場。上司が歩いてボクのところにやってくる

 

上司「この間話してくれたアイデアを資料にまとめておいてくれないか」

オレユニ「あの時話したアイデアですね。わかりました。いつまでに作ればよいでしょうか」

上司「部課長会にだしたいんだ。今週の金曜日まで。できるかな。今日は月曜日だから、あと4日だね。厳しいかな」

オレユニ「承知いたしました。ガンバリます」

 

 

この牧歌的な職場にパソコンが入ってきてから、職場の雰囲気も、仕事のやりかたもドンドンと変わっていってしまいました。

 

最初は、とても便利なものとして多くの人に重宝されていました。

 

資料をつくるのも、コミュニケーションをとるのも、パソコンがあれば簡単にできちゃう。字がへたくそなボクは、Wordで資料をつくれることにとってもカンゲキしたものでした。

 

それから、ものすごい勢いでITが進化していって、いろいろな人と、いつでも、どこでも、つながれる環境ができあがってしまったのです。

 

最初はメールがパラパラとくる程度だったのが、1日100通を超えるようになりました。最近ではチャットも導入されて(しまい)、さらに短い時間のやりとりが増えた(しまった)。

さらに、全員に無線付きのノートパソコンが配られ、社内社外どこでも持ち歩けるようになりました。この結果、会議中でもメールやチャットを使えるようになりました(しまった)。

 

まさに、“仕事が、いつまでも、どこまでも、追いかけてくる” のです。

 

これから、スマートフォンを当たり前に仕事で使うようになると、この傾向はさらに強まると思います。

 

マイクロワーク化する仕事場

 

■イメージシーン

部下にプロジェクト課題を解消させる指示メールを発信するために、メール文をこしらえていたところ、画面上にポップアップがあがった。上司からのチャットだった。すばやく回答し復帰しようとしたところに、メール受信を通知するポップアップが表示された。メールをひらいてみると会議の日程調整メールだった。こちらもすばやく対応したところ、さきほどのチャットの返信が上司からあった。ちょっとマズイ雰囲気の模様。返信内容に誤解を生むような表現があったからだとわかった。誤解を解くためのチャットをモーレツな勢いで作成し返信した。一旦、落ち着いたので元の作業に戻ろうとしたが、「アレ、今までなにをやっていたんだっけ」としばし黙考。そんな時に、重い内容のメールを受信してしまった。どうしたものかと、熟慮していたらパソコンがフリーズ。しかたなく強制再起動を実施。

数日後、プロジェクト進捗会議でプロジェクト課題の解消状況について詰問されたとき、部下への指示メールを発信してなかったことに気づく。あぁ。

 

仕事中に外部からの割り込みが入る環境の場合、仕事の単位がドンドンと細切れになっていってしまいます。これをマイクロワークと呼ぶことにします。

 

冒頭で紹介した、ギグ・エコノミーやマイクロ・ラーニングなどは、スキマ時間を上手に使ったものです。

一方、マイクロワークは、結果として仕事の単位が細切れ(マイクロ化)になってしまったものです。

 

次より、そのマイクロワークの弊害と対策について考えていきたいと思います。

 

マイクロワークの弊害 その1:成果物の質が落ちる

 

マイクロワークになると、落ち着いてゆっくりと資料を作る時間がなくなります。その結果、締め切りのプレッシャーに負けて、狭く、浅い、上っ面の内容の成果物が増えていく傾向になります。

 

「ちゃんと考えたのか」「あれもこれも足りないよ」「具体性が足りない」「数値をひろってない」と上司は言う。

「時間が足りないんです」「働き方改革で残業ができませんし」と部下は返す。

 

マイクロワークの弊害 その2:進捗がはかどらない

 

仕事中に外からの割り込みが発生すると、集中している状態(これを、フロー状態というらいしい)が壊されてしまいます。一度、フロー状態を破られると、再度フロー状態に戻るためには15分程度必要になるとのことです。したがって、できるかぎりフロー状態を保つ工夫をする必要があるのです。

 

しかし、現在の職場は、フロー状態をワザワザ破るような仕組みが導入されてしまっています。効率化支援という名目で。

 

前述した事例の通り、マイクロワークは、マイクロワークごとの切り替えが大変になります。段取り替えですね。ふつうの人間なら失念してしまっても、しかたないと思います。

 

マイクロワークを好機にできる人

 

しかし、このようなマイクロワークの職場でも、苦にせずバリバリと働ける人がいます。逆に嬉々として、仕事に取り組んでいるように見えます。

 

そのような人は、脳の中に無限のメモリー空間があり、マルチタスクでマイクロワークを切り替えられるんだと思います。だから、割り込みが入っても今までやっていたことに瞬時に戻れるのです。しかも、そのメモリーは不揮発性で、昔のことまでよく覚えているんです。

 

まさに超人です。

 

ただ、そのような超人は、他人も自分と同じようにできるハズ、と思っている人が少なくないように思います。できないのを、その人がさぼっていることが原因だ、と思ったりすると、パワハラやココロの病気につながったりもします。

 

マイクロワークを支援するもの

 

しかし、超人できることは、普通の人はできません。

なので、いままで、なにをやっていたのかを思い出せるツールや集中を切らせないしかけ、つまり、マイクロワークの環境をアシストするツールが必要だと思います。売り出したら結構当たるかもしれません。

昔は、手帳にメモすることで対応できました。しかし、現在のスピード感と量では対応が難しいと言わざるをえません

 

マイクロワークをさせてはいけない職種

 

そもそも、マイクロワークをさせてはいけない人たちもいます。

プログラマーなどは最たるものです。集中して一心不乱にコーディングできる環境をあたえるべきです。

 

事務職とおなじように、メールやチャットやモバイルPCを与えるべきではありません。

便利だから、意思疎通が早くなるから、という一律行政ではなく、適材適所、適ツール適役割で考えるべきです。

 

<結論>深慮なきIT化推進には注意

 

ITは人間に“便利だ”と思わせるもの

 

ITは人間を幸せにするもの

 

便利を超えると、人間がITに振り回されてしまいます

 

そうなると、人間は不幸になります

 

ITに振り回されることがないように、深慮なきIT化推進には注意したいと思います

 

(了)