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オレユニ流“WBSのつくりかた”

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こんにちは、オレンジ色のユニフォームです。

 

今回もプロジェクト管理のノウハウについての記事を書きたいと思います。

 

プロジェクト管理のノウハウについては、これまでの2つの記事を書いてきました。

・プロジェクト運営の基本のキ

・オレ流“課題管理のやりかた” 

 

今回のテーマはオレユニWBSのつくりかた”です。

 

 

最初に1つ質問をさせていただきます。

 

あなたは、WBSの作り方を正式に教わったことはありますか?

 

「ある」と答えた方はさほど多くないと思います。

多くの方は、WBSの作り方を教わらないまま、開発の現場に放り込まれ、過去に作成されたWBSを参考に作っているのが実情でないでしょうか。

 

いきおい、多くのプロジェクトで、“我流で、実行実現性が低い”WBSがはびこることになります。

 

“我流で、実行実現性が低い”WBSには次のような特徴があります。

・必要な作業が抜けている

・作業期間の見積もりが甘い

・進捗会議での到達状態がわからない

・作業の具体的内容(なにをするのか)がわからない

・作業のゴール基準があいまい

 

このようなWBSを使って進捗管理をしていくと次のような問題を引き起こします。

WBSになかった作業を追加しないといけないので、全体の作業スケジュールが厳しくなる

・作業期間が短すぎたり、長すぎたりする。短いと厳し

・プロジェクトの状態が把握できず、問題に対しての対応が後手に回ってしまう

・意図しないものができあがる。意図していたものはできていない

・ゴールのないマラソンとなり担当者のモチベーションは下がりまくる

 

このようなことを避けるためには、進捗管理をする人とされる人全員がWBSの正しいつくりかたを理解・認識共有しておく必要があります。

 

 

WBSは2段階の作業で作成する

いきなりWBS表をつくりはじめるのではなく、次の2段階の作業でWBSを作成していきます。

 

・最初に、タスクの工程分割・設計を実施する

・次に、WBS表を作成する

 

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WBSのつくりかた

次から2段階の作業の詳細を説明します。

 

その1:工程分割・設計のやりかた

・タスクを分割したものを工程と呼びます

 →「外部設計書の作成」というタスクは、「外部設計書 目次の作成」と「外部設計書 第1章の作成」「外部設計書 第2章の作成」・・・の工程に分割できます

 

・工程にかかわる人は、実施者とレビューアーです

 →実施者は成果物を作成する人です。レビューアーは成果物をレビューする人です

 

・レビューアーには、システム内とお客さまの2つを設定しておくと必要な工程が抜けにくくなります

 

・実施者の工程には成果物を必ず定義します

 →「xx情報の読み込み」のような一見成果物を作成しない工程であっても成果物を無理やり設定します。「xx情報の読み込み」工程であれば「xx情報の読み込みメモ」をつくることで成果物を設定できます。メモをつくることで、実施者の読み込み状況も見える化できるようになります

 

・一方、レビューアーの工程には完了基準を定義します。レビューアーの観点が事前に実施者と共有できることにより、完了基準をケアしながら成果物作成ができます。これにより、後出しジャンケンのような指摘が減り、手戻りが少なくなります。

 

・レビュー工程は必ず入れましょう

→レビュー後の成果物の修正の工程まで入れ込みましょう

→多くのプロジェクトがレビュー工程があることを知っていながら、なぜかWBSに入れ込めていません。結果、多くのプロジェクトでレビューネックを招いています

 

・工程の分割レベルの基本は1週間単位とします

→これは、通常の進捗会議のサイクルが週次で開催されているからです

→プロジェクトが佳境に入り、進捗会議を毎日開催する場合は工程は1日単位で分割します。進捗会議までの到達状況(目標)を定めるのです


・1週間単位で成果物の到達状態がわかるようにしましょう
→ダメな例は「外部設計書 第1章の作成 1週間分」「外部設計書 第1章の作成 2週間分」「外部設計書 第1章の作成 3週間分」のように成果物の到達状態があいまいでわかりません。これでは、進捗率も見える化できません
→ヨイ例では、強引でも定量化をします。「外部設計書 第1章の作成 1~10ページ分」「外部設計書 第1章の作成 11~20ページ分」「外部設計書 第1章の作成 21~30ページ分」のように成果物の到達状態が明確にします。これであれば、進捗率も見える化できます

 

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工程分割のすすめかた

その2:WBS表の作成

工程の分割が完了したら、いよいよWBS表の作成です。基本作業は工程分割の結果となりますが、その際の留意事項がいくつかあります。

 

WBSの表題は「○○を× ×する」と書きます

→名詞( ○○ )+動詞(××)の形にします

→これによ、なにを行うかが明確になります

 

・工程分割は論理的な工程表です。「普通だったらこのようにできるハズ」というものです。しかし、現実的には、外部環境等の影響で“普通じゃない”ことが散発し、プロジェクトの計画に影響を受けてしまうことが少なくありません

 

・そのため、WBS表に落とし込むときに次のことをケアして実現性が高いWBSをつくりあげる必要があります

 →プロジェクトメンバーとお客さまに関係するイベント

   -GW(5月)、シルバーウィーク(9月)、夏休み、正月休み

   -1,2,3月は営業日が少ないのに各種イベントが多い

   -会社によっては創立休暇や勤続xx年目休暇がある

   -会社によっては帰社日がある

   -最近は、諸々の影響で、稼働率が低くなってきている傾向がある

   -個人的な理由で執務時間が制限されている人がいる

   -会社の研修、xx年目研修で不在期間がある

   -結婚休暇

   -中国関係者の春節休暇

 

 →外部イベント

   -オリンピック・パラリンピック休暇の影響

 

 

今回はオレユニ流WBSのつくりかた”を紹介させていただきました。

ザンネンながら、最近のプロジェクトでもWBSの質は以前と変わらず高くありません。“我流で、実行実現性が低い”WBSがはびこっています。

進捗管理をする人と、される人全員がWBSの正しいつくりかたを理解・認識共有し、プロジェクト全体でWBSのつくりかたの認識をあわせることで、“規律だった、実行実現性が高い”WBSが出回ることを祈念しております。

 

 

以上