時短営業する?しない? ~感染拡大防止協力金のはなし~
こんにちは、Mです。
まん延防止等重点措置が再度延長されました
飲食店に営業時間短縮の要請がでており、夜9時に閉店するお店や、しばらくお休みにしている店もあります。
東京都では、時短に協力した飲食店に対して「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」が支給されます。
jitan.portal.metro.tokyo.lg.jp
この協力金については、大きなお店では営業時間短縮分をカバーしきれないケースもあれば、逆に営業するよりも休んで協力金をもらった方が得をする「協力金バブル」などと呼ばれるケースもあります。
そこで今回は、お店の規模がどのくらいであれば、協力金によって時短分をカバーできるのか、試しに計算をしてみました。
現在の東京都の場合、協力金の対象は以下の3パターンがあります。
【A】「感染防止徹底点検済証」認証店で、アルコール提供20時まで、営業21時まで。
【B】「 〃 」認証店で、アルコール提供なし、営業20時まで。
【C】「 〃 」非認証店で、アルコール提供なし、営業20時まで。
この中で【A】のパターンを使って、時短あり/なしによる売上・利益・協力金額を比較します。
最初に結果から言いますと
「席数119席以下の飲食店は、時短協力金の方が多くなる」でした。
表にしましたので、これを見ながら説明しましょう。
業態の設定は居酒屋で、ふだん週6日・17時~23時まで営業しているお店が、2時間早く21時に閉店する場合に売上・利益がどう変わるかを比較しています。
<売上>
売上は、[客席数×満席率(客席稼働率)×客席回転率×客単価×営業日数]という計算で出します。
[満席率(客席稼働率)]は、お店の座席のうち何割くらいまでお客さんが入っているかの割合で、居酒屋の平均は65~70%程度と言われており、今回は70%で設定しました。
[客席回転率]は営業時間内でお客さんが何回入れ替わる(=回転)かの数字です。2時間で1回入れ替わると想定し、通常6時間の営業の場合は3回転、時短4時間では2回転としました。
[客単価]は1人のお客さんがいくらお金を使ってくれるかで、都内だと3,000円くらいが妥当でしょう。
[営業日数]は週1日お休みがある想定で、営業週6日×4週間=24日間と計算しています。
通常営業では約1800万円、時短にすると約1200万円と、ざっと600万円程の売上が減少します。
※月商1800万円はけっこう大きな数字ですが、あくまで試算ですので目をつぶってください。。。
<原価>
原価には、売上に連動して変わる[食事・ドリンク原価、人件費、光熱費]と、売上に関わらない固定費の[家賃、その他費用]があります。
[食事・ドリンク原価]はお店によって幅が大きいですが、一般的に売上額の30%以内に抑えるのが望ましいと言われています。
[人件費]も30%程度が目安です。営業時間の変化がダイレクトに影響しますが、今回は売上によって設定します。
[光熱費]もまた業態により大きく変わりますが、ざっくり売上の10%としました。
[家賃]は席数=お店の広さよるので、「15席のお店で家賃月額30万円くらい」のイメージから「1席につき2万円」として計算しています。家賃は営業時間に関係なくかかる費用のため、通常営業でも時短営業でも同じ金額です。
[その他費用]は、備品や消耗品、宣伝費、通信費、などなどで、これもざっくり「1席につき1万円」としています。
<協力金でカバーできる範囲>
「売上から原価を引いたお金=利益」で、実際に経営者の手元に残る金額である「利益」が、時短によってどれくらい減るか、そして、感染拡大防止協力金で減少額をカバーできるか、が検討のキモになります。
席数119席の場合、時短によって利益は「-1,799,280円」減少します。
いっぽう感染拡大防止協力金は、概算ですが「通常営業での月間売上高×0.3、または、180万円、のいずれか低い方」となります。
通常営業での売上は月商約1800万円。×0.3=540万円ですが、上限金額は180万円のため今回の計算では「協力金180万円」です。
「利益減少額1,799,280円」は「協力金180万円」でギリギリカバーできます。
しかし、席数を120席に増やして計算すると、利益減少額が「1,814,400円」と協力金上限額をオーバーするため、「119席」が協力金でカバーできるボーダーラインとなりました。
いかがでしょう。「けっこう規模の大きなお店までカバーできるんだな。」というのが正直な感想でした。
ここまでカバーできるなら、時短に応じているお店が多いのもわかる気がします。
時短ではなく完全にお休みにするお店にも協力金は出ますので、固定費の少ないお店なら休業もひとつの手段だと思えます。
ちなみに、席数を30席ほどで計算すると「営業利益の減少額」と「協力金」の差額は約90万円となかなかの金額になります。
もちろん、ここに挙げた費用以外にもお金がかかる部分はあるでしょうし、時短・休業した場合に従業員の雇用をどうするか、等々の問題もあり、実際こんな単純には判断できないものです。
あくまで参考・シミュレーションまで!!